皮膚科医によるスキンケア講座
角質のメカニズムと
トラブル
肌のターンオーバーの乱れはニキビや毛穴のトラブルの元に
監修 小林智子 先生
肌の印象は角質が決め手。
肌トラブルの原因は古い角質にあった！
教えて! Doctor
「肌がつやつや・すべすべしている」など、肌の印象や質感を決めるのは角質層。角質層は、肌内部の水分を保持する役割や、外界の汚れや紫外線などの刺激を防ぐ役割を担う心強い存在です。しかし、何らかの要因で肌のターンオーバーが乱れることにより、役割を終えた古い角質が溜まってしまうと 「ざらつき・毛穴の詰り・黒ずみ・ニキビ」などの肌トラブルの原因になってしまいます。
今回は、角質のメカニズムと角質トラブルについて、皮膚科医の先生に解説いただきます！
角質の役割とターンオーバー
ラップほどの薄さで肌を守っている！
まず、皮膚というのは、上から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造になっており、一番上の表皮はさらに「角質層」「顆粒層（かりゅうそう）」「有棘層（ゆうきょくそう）」「基底層（きていそう）」の4層構造になっていて、その名の通り角質は、一番上の「角質層」に位置します。その厚さはなんと平均で約0.02ミリ。およそラップ程度の非常に薄い膜ですが、「外部からの汚れや紫外線などの刺激を防ぐ機能」と「肌内部の水分を保持する保湿機能」という大切な役目を果たしています。
「肌の生まれ変わり活動」ターンオーバー
ターンオーバーという言葉を聞いたことはありませんか？ターンオーバーとは、肌の細胞が一定の周期で生まれ変わる仕組みのことを言います。
皮膚の最下層の「基底層」では常に新しい細胞が生まれ、分裂しながら働きや形を変えて肌上層部へと進んでいき、やがて最上層「角質層」まで押し上げられ役目を終えると古くなって排出されます。この一連の代謝がターンオーバーです。
この肌の生まれ変わり活動ともいえるターンオーバーが何らかの原因で乱れてしまうと、古い角質が肌の表面にたまってしまうのです。
では、古い角質が蓄積してしまうとどんな肌トラブルが起こってしまうのでしょうか？
これもあれも！古い角質が引き起こす肌トラブル。
まず、古い角質が溜まると、以下のような肌トラブルが起こる可能性が高くなります。
・肌のざらつき
・肌のくすみ
・毛穴の開き
・毛穴の詰り／黒ずみ／角栓の目立ち
・コメド
・ニキビ／ニキビ跡の目立ち
Doctorが解説
角質が溜まってくるとまず起こるのが、肌触りの悪さ、そしてくすみです。化粧ノリが悪く感じたり、どんよりした印象を感じたりしたら角質が溜まってきたサインですが肌に大きな変化がないため見落としがちです。
次に起こるのが、毛穴周りのトラブルです。これは古い角質＋乾燥＋皮脂汚れによって起こることが多いとされています。角質が乾燥することで毛穴の開きが目立ったり、角質が皮脂と混ざって角栓となり、毛穴の詰り・黒ずみに発展させます。
くり返し起こったり、なかなか改善しないトラブルなので多くの方が悩んでいるポイントですよね。
そしてこのまま角質の蓄積が進行すると、ニキビに発展してしまう可能性が高くなります。皮脂汚れが毛穴に溜まるとアクネ菌が増殖しやすくなり、やがて炎症を起こしてニキビになって肌に現れます。
また、大人になると、炎症性のニキビができやすかったり、、治りづらくなったり、跡になったり、、、とニキビができた後のトラブルに悩む方も多いのではないでしょうか。
これらがターンオーバーの乱れと古い角質の蓄積による肌悩みとして挙げられます。思っていたよりも多岐にわたりますよね。重要なのは、これらの肌トラブルを未然に防ぐ角質ケアをすること、そして肌トラブルが起こってしまったときに適切な角質ケアをすること。この2つです。
先生、ありがとうございます。
次回は、「角質ケア」の重要性とその方法についてご解説いただきたいと思います！
次回は、「角質ケア」の重要性とその方法についてご解説いただきたいと思います！
まとめ
・古い角質の蓄積は肌トラブルの原因に！・角質の蓄積は、肌のターンオーバーの乱れによるもの
・古い角質が引き起こしてしまう肌トラブルは、肌のざらつきやくすみ、毛穴の詰り・黒ずみだけではなく、ニキビなど多岐にわたる
・肌トラブルを未然に防ぐには、角質が溜まらないように普段から角質ケアを取り入れることが重要！
小林智子 先生
皮膚科専門医。医学博士。日本医科大学卒業後名古屋大学大学院皮膚病態学にてアトピー性皮膚炎について研究。
2015年よりNorthwestern大学へポストマスターフェローとして臨床研究に従事。
食事と健康に関してレシピや情報などを医学的な立場から発信する「ドクターレシピ」の監修を行う。
