シミに効く注目の美白有効成分は?
種類別の作用や薬用化粧品・化粧品の違いも
「シミのない明るい肌を保ちたい」「これ以上シミを増やしたくない」、そんなとき気になるのが美白化粧品ですよね。とはいえたくさんの種類があって、選ぶのに迷う人も多いはず。シミに効く美白有効成分にはどんなものがあるのか、どんな作用があるのかを紹介します。
目次
そもそも美白有効成分とは?
美白有効成分とは、医薬部外品(薬用化粧品)に含まれる成分のうち「日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ」または「メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぐ」などの有効性が厚生労働省に承認されている成分をいいます。現在、承認されている美白有効成分は20種類を超えています。
シミやそばかすの元になるのは、メラノサイト(色素細胞)でつくられる褐色のメラニン色素です。紫外線を浴びるとメラノサイトに「メラニンを生成せよ!」という指令が出て、メラニンが過剰につくられ、蓄積するとシミになっていきます。
このようにシミができるまでには、いくつかのステップがあります。美白有効成分はシミ生成ステップのどこかで効果を発揮し、シミを防ぎます。
なぜシミに効く?美白有効成分の3つの効果
シミやそばかすを防いでくれる美白有効成分。どのような作用でシミに効くのか、主な3つを押さえておきましょう。
効果①メラニンの生成を抑制する
メラニンはもともと「チロシン」という無色のアミノ酸です。チロシンにチロシナーゼという酵素が働きかけて酸化すると、褐色のメラニンに変化します。従来の美白有効成分の多くは、チロシナーゼ酵素の活性を阻害してメラニンの過剰生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐタイプです。
このほか「メラニンをつくれ!」という指令を出す情報伝達物質をブロックすることで、メラニンの過剰生成を抑える美白有効成分もあります。
効果②メラニンを還元する
還元とは、酸化した物質から酸素がとれる化学反応をいいます。美白有効成分には、酸化によって褐色になったメラニンを還元(無色化)することで、シミを防ぐタイプがあります。できてしまったシミを完全に消し去るのは難しいですが、色が濃くなるのを防ぐのには効果的です。
効果③ターンオーバーを促す
肌の奥にあるメラノサイトでつくられたメラニンは、メラノソームという袋のようなものに格納され、いっぱいになると表皮細胞に受け渡されます。通常、メラニンはターンオーバー(表皮細胞の生まれ変わり)により肌表面に押し上げられていき、最終的にメラニンを含む角質(垢)となって剥がれ落ちます。
ターンオーバーが正常に行われていれば、メラニンは肌表面に蓄積しません。美白有効成分には、遅くなったターンオーバーを正常に整えてメラニンの排出を促し、シミを防ぐタイプがあります。
シミに効く美白有効成分と作用
厚生労働省に承認されている美白有効成分は、20種類ほどあります。その中で今話題になっているのが、敏感肌にも使えるナイアシンアミド。そのほか、よく知られている美白有効成分もチェックしましょう。
ナイアシンアミド
ナイアシンアミドは、ビタミンB3(ニコチン酸アミド)とも呼ばれるビタミンB群の一種。メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぐ効果が承認されています。一般的な美白有効成分とは異なり、メラノサイトでつくられたメラニン(メラノソーム)が表皮細胞に受け渡されるのを抑制するのが特徴です。
またナイアシンアミドは、シワを改善する有効成分としても承認されています。さらには角質層の隙間を満たす細胞間脂質(セラミドなど)の産生を促進して、保湿機能やバリア機能を高めます。大気中微粒子や花粉などの外部刺激を受けにくくなるため、敏感肌でも使用できます。
エイジングケアはもちろん、うるおってくすみのない透明感のある肌を保ちたい人にもぴったり。世代や肌質を問わない成分だからこそ、注目されているのです。
ナイアシンアミドの詳しい効果について「ナイアシンアミドとは?注目すべき理由と美容効果│敏感肌におすすめの成分5選も」をご覧ください。
ビタミンC誘導体
ビタミンC誘導体は、生成されたメラニンを還元して色を薄くし、シミ・そばかすを防ぎます。コラーゲンの生成を促進し、シワの改善も期待できる成分です。
しかしビタミンC誘導体には刺激性があるため、高濃度だとピリピリ刺激を感じる人も……。そこでバリア機能を高めるナイアシンアミドと併用すると、刺激が抑えられ相乗効果も期待できます。
ナイアシンアミドと併用がおすすめの成分については「ナイアシンアミドとレチノール併用で相乗効果を!敏感肌でも使える組み合わせは?」を参考にしてください。
カモミラET
カモミラETは、メラニン生成を命令する情報伝達物質「エンドセリン」の働きを阻害。メラノサイトの活性化を抑制することで、メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぎます。カモミールの花から抽出した成分を原料としています。
アルブチン、コウジ酸
アルブチンとコウジ酸は、メラニン生成を促す酸化酵素「チロシナーゼ」の働きを阻害して、メラニンの生成を抑えシミ・そばかすを防ぎます。アルブチンはコケモモなどの植物由来、コウジ酸は麹に含まれる成分です。
トラネキサム酸
トラネキサム酸は、メラニンをつくり出す「メラノサイト」の活性化に必要な「プラスミン」の働きを抑制し、メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぎます。肌荒れ改善を目的とした医薬部外品(薬用化粧品)の有効成分としても承認されています。
アデノシン一リン酸ニナトリウム
アデノシン一リン酸ニナトリウムは、ターンオーバーを促すことでメラニンの蓄積を抑え、シミ・そばかすを防ぐ成分です。
化粧品より医薬部外品の方がシミに効くの?
美白有効成分とまったく同じ成分が、化粧品にも配合されることがあります※。化粧品より医薬部外品(薬用化粧品)の方がシミに効果的な印象があるかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。
化粧品のほうが高濃度な場合がある
医薬部外品(薬用化粧品)は有効成分の配合量が規定されていますが、化粧品に配合する場合は規定がないこともあります。ナイアシンアミドやビタミンC誘導体などを、医薬部外品(薬用化粧品)よりも高濃度で配合している化粧品もあります。
最新の成分を配合した化粧品もある
美白有効成分の承認は受けていませんが、ラ ロッシュ ポゼが発表した独自成分「メラジル」は、メラニンの沈着に着目して開発されています。従来の美白有効成分(チロシナーゼの阻害)とは異なり、メラニン生成過程の中間物質を捕獲・排出することで、シミの発現を抑える効果があると期待されています。
美白18年の研究を経て開発されたメラジルは、シミ対策の新たな一手となるかもしれません。
※化粧品は法律上、一つの成分だけではなく、その他の成分と合わせて全体で効果を表すものとされています。そのため「有効成分」という言葉は使用されません。
日常生活で意識したいシミ対策
シミの最大の原因は紫外線。美白有効成分によるスキンケア以上に、紫外線対策が重要です。またターンオーバーが順調になるように、毎日の食事にも気を配りましょう。
紫外線対策は万全に!
紫外線は日差しが強い季節だけではなく、冬や天気が悪い日も降り注ぐため、毎日欠かさずに日焼け止めを塗りましょう。窓を通して侵入するので、室内にいても油断大敵です。毎日の使用には、肌への負担が少ない敏感肌用の日焼け止めがおすすめです。
また皮脂や擦れで落ちてしまうことがあるので、2時間おきに塗り直すのがポイント。メイクをしているときは、メイクの上から使えるスプレータイプの日焼け止めが便利です。
さまざまな食材を摂って内側からもキレイに
シミに効く栄養素といえばビタミンCがおなじみですが、さまざまな食材をバランスよく食べることで、その効果がうまく活かされます。肌の材料になるたんぱく質(肉や魚、卵、乳製品など)もしっかり摂って、ターンオーバーが正常な健やかな肌を目指しましょう。
敏感肌に使える成分でシミ対策!
シミに効くとされる美白有効成分は20種類以上あります。毎日継続して使ってこそ効果が期待できるものなので、刺激が少なく敏感肌にも使える成分がおすすめです。紫外線対策も欠かさずに、クリアな肌を目指しましょう。